- 2024.07.29
- 「親のこと、もっと知りたい!インタビューノート」監修しました
- 2024.07.24
- 産経ニュースでコメント
- 2024.07.24
- フジテレビ「めざまし8」コメント出演
- 2024.05.24
- 婦人公論8月号に掲載されています
- 2024.02.05
- テレビ朝日「阿佐ヶ谷姉妹&カズレーザーのそれなら安心だわ」出演
葬儀&終活ビジネス研究所は、葬儀業界、葬儀関連・周辺業界(仏壇、墓石、料理、ギフト、生花、写真、人材派遣、終活事業等)の発展を目指し、消費者への情報発信をするとともに、クライアント様の経営改革をサポートするために活動しています。
また、医療・介護と葬送・供養の「生」と「死」が分断されている実情をふまえ、業界の狭間、制度の隙間をつなぐ活動をしています。
葬儀業界って……こんな業界です
死亡者数は2040年まで拡大の見込み
2003年には死亡者数が100万人を突破。2040年ごろには167万人と死亡者数はピークを迎え、その後は次第に減少するものの、2070年までは年間死亡者数は150万人以上で推移すると見込まれています。そのため今後は葬儀施行件数の増加と安定が見込まれています。しかし、それと連動して市場が拡大するというわけではありません。
簡素化、小規模化が進む葬儀
「身内だけでこぢんまりと葬儀を行いたい」というニーズが増えたことに加え、亡くなる人の高齢化によって参列者が減少し、近年葬儀の規模は縮小の傾向にあります。こういった人口環境の変化も要因のひとつですが、地域のコミュニティが薄れ、人間関係が希薄化したこと、葬儀に対する考え方が「家」から「個」に変わったことなども理由としてあげられるでしょう。
キーワードは「家族葬」「直葬(ちょくそう)」
2000年ごろから「家族葬」を積極的にPRする葬儀社が増えてきました。火葬のみプランを「直葬(ちょくそう)」と言うようになったのもこの頃から。これらの言葉はもともとあったものではなく造語ですが、ここ数年で一般にも急速に広まっています。
家族葬とは、その名のとおり家族と親戚(友人・知人に声をかける場合もあり)など、故人とごく親しい間の人達が集まって送る葬儀スタイル。
直葬とは、儀式を行わず火葬場へ直行する葬儀スタイルのことを指します。最近では、火葬のみでもバリエーションが増え、ご遺体安置の間の面会可否、時間指定で納棺ができるかそうか、納棺師による納棺の儀が行われるかどうか、といった違いで火葬式だけでもさまざまなプランがあります。
コロナ渦では、通夜を省略して、葬儀・告別式当日だけセレモニーを行う一日葬というスタイルも増加しました。
業界の勢力図
葬祭サービスを手がけている会社は、専門葬儀社系、互助会系、JA系、その他に分類することができます。専門葬儀社系の事業所数は推定5000~6000社。葬祭業全体の売り上げのうち、40%程度を占めています。二大勢力にあたる互助会系の事業所数は約300ヶ所と、専門葬儀社の1割程度ではありますが、施行件数は全体の40%に相当します。
第三勢力としてシェアを伸ばしているのがJA系で、今ではそのシェア10%を超。その他、生協、電鉄系など異業種から葬儀業界への参入に意欲的な業者も増加。2009年にはイオングループが参入し、大きな話題となりました。
現在は、格安のパッケージ商品をつくりネットで集客・販売を行う「ネット系葬儀社」が台頭。積極的なネット広告やCMなどで大きく集客を伸ばしています。
葬儀費用等が明瞭化し、見積と請求の間で乖離が生じるトラブルは激減しましたが、一方で、「インターネットの情報と違う」というような広告と見積が違うといった類のトラブルはよく耳にするようになりました。
変化する埋蔵(埋葬)・納骨のかたち
お墓といえば、従来先祖代々受け継ぐものとされていましたが、最近は昔ながらの「家」制度が薄れ、さらに「跡継ぎ」の悩みなどを抱える人の増加などにより、埋蔵(埋葬)・納骨スタイルが多様化しています。ロッカー式の納骨堂、海へ散骨、樹木葬墓地がその例。墓に対する考え方を同じくする「墓トモ」などという造語も生まれました。遺骨の一部をロケットで飛ばす宇宙葬も近年では話題です。
2014年ごろから急速に広まったのが「墓じまい」。継ぐ人がいない等の理由で墓守ができなくなった墓を手放して、中に入っている遺骨を別の場所に移動するまでの一連の流れをいいます。
少子化、生涯未婚率の上昇等の理由で、墓を子々孫々継いでいくシステムは制度疲労を起こしています。
終活ビジネスの今
終活とは、人生の最後を自分の理想的なものとするために事前準備をする活動のこと。葬儀について考えたり、自分のお墓を決めておくといった葬送に関することだけではなく、終末期医療や介護の希望、身辺整理、遺言・相続など、「万が一」に備えて事前に準備しておきたいことは山ほどあります。葬儀社では「終活セミナー」「終活フェア」などが頻繁に開催され、写真館では「遺影撮影会」といったイベントも行われています。シニア層の顧客を抱えている旅行会社も「終活セミナー」「終活講座」の実施に意欲的。終活に対して異業種が積極的に名乗りをあげる時代になってのです。
このように2009年以降、「終活」を切り口として集客に取り組む業者は増えましたが、近年は少し落ち着いています。その理由は、
ー「終活はビジネスに直結しない」ー
終活の啓蒙はしつつも、そこに傾倒しすぎず、本業のベースをしっかり固めることの意義がより問われるようになっています。
葬送・供養業界の今後
2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、日本の社会保障が危機を迎えるといわれています。これまでの葬送・供養業界は、「死」を中心に、故人を送り、家族を支える業務を行ってきましたが、これからは当人がどのように暮らしてきたか、「生」を輝かせるための葬送のプランニングが求めれるようになるでしょう。
コロナ禍では、病院や施設でのリアル面会がかなわず、看取りの段階になって、もしくは臨終の知らせを受けてやっと対面できたというケースも珍しくありません。そんな中で、ご遺体を引き取り、火葬までの間をどのように故人との時間と空間を共有していくかという「安置」の部分が葬送で重要視されるようになっています。
「生」の部分は医療・介護・福祉で多職種連携の概念がありますが、残念ながらその概念が死後まで引き継がれることはありません。
昔は「生」と「死」の間に大きな壁はなく、地域社会で看取りから葬送まで一貫して行われていたことでしょう。生と死の多職種連携、チームサポートという考え方をすることで、葬送文化を次世代へつなぎ、一人の人の生と死を支える仕組みが整っていくのではないでしょうか。