5月31日号「週刊女性」で、新田恵利さんと阿川佐和子さんの「親の介護と看取り」についての体験談が掲載されていました。
週刊女性では、これまでも堀ちえみさん、真矢ミキさんの体験談を特集していますが、自分と同世代のタレントさんがそういう年代になったのだとつくづく実感します。
私は社会福祉士で現役の特養介護職でもありますので、施設ではこれまで何十人もの方を看取ってきました。
逝く人、送る人、それぞれドラマがあります。今でもスタッフ同士で、亡くなった方のエピソードを思い出すこともあります。
コロナ禍で変わった看取りの環境
コロナ禍で看取りの環境が大きく変わりました。
施設ではリアル面会が叶わず、オンラインで顔を見る程度(中には会話ができる人もいますが)という人も多く、状態の変化を家族が肌で感じることはできません。
そのため看取りの話になって「え?!そんなに悪いの?」と受け止めることができなかったり、「ちゃんと食事の介助とかしてるの?」と怒りをぶつけてくる家族も。
(介護施設で亡くなった場合は介護報酬で「看取り加算」がつくので、そのような状態になった時は看取りに向けての話を家族とします*さまざまな条件あり)
先日も、一度は看取りの同意を得たAさんでしたが、「まだ何かできるのでは」とご家族の希望で病院に入院されました。看取りの段階になって多少面会ができるようにはなりましたが、コロナ陽性者が五月雨式に出るため、十分な面会ができませんでしたから、水分を口にするのもやっとというAさんの状態を、家族は到底受け止められるはずもありません。
病院では施設以上に面会制限があり、結局Aさんはご家族とまったく会うことができないまま最期を迎えました。
この2年間、多くの人を送りましたが、ほぼ軟禁状態の介護施設も多いことでしょう。
そろそろいいんじゃないでしょうか。
「面会制限」辞めませんか?
多職種連携、チームで支える意識を
コロナ禍で葬儀も縮小化・簡素化に拍車がかかりました。しかしそれは「どうでもよい」という意味ではありません。
十分な看取りができなかったからこそ、「最後は故人とゆっくり過ごしたい」という家族が多いでしょう。火葬までの間、時間と空間を共有できるように「過ごし方」を提案できるかどうか葬儀社の手腕にかかっています。
医療・介護・福祉の世界では、多職種連携が重視され、それぞれのテキストに必ず載っていますが、死後に関する社会資源との連携については全く触れられていません。「ボランティア」扱いです。
「葬儀社と連携します」の一言がなぜ出てこないのか、、、まだ「生」と「死」の間に大きな壁があると実感しています。
(吉川)